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しかし周囲を見回してみると、ほかの乗客はいすに座ったりカバンを枕にして床に寝たりしたままで、この騒がしい見せ物を見守るばかりだった。そうやって待機中だった乗客が、いつの間にか半分以下に減っていたのに気付いたのは、ずっと後になってからだった。飛行機が離陸できなくなり、航空会社が乗客を呼んでホテルの宿泊券を渡していたわけだ。しばらくして見てみると、残っている乗客の大部分は韓国人だった。航空会社が、コリアンをことごとく後回しにしたらしかった。
がらんとした待合室に韓国人だけが残されていたその場面を、今でも忘れることができない。それが国際社会の中におけるわれわれコリアンの姿を意味している、という思いが、頭から離れない。なぜか、独島(日本名竹島)を巡る一件も狂牛病の一件も、この空港待合室の場面と重なって見える。
1995年、韓国政府が「日本をしつけ直す」と称して独島について各種の超強硬措置を取るや、韓国の国民は歓呼した。その時、香港のある新聞社がアジア地域の企業人を対象に調査を行った結果、日本の立場を支持するという答えが60%を超えた。その理由は「韓国がもめ事を起こした」というものだった。韓国人は内輪で万歳を叫んだが、独島が韓・日間の紛争地域だと世界に広告を出す形になった。米国の地名委員会による独島の表記変更は、こうした広告が積もり積もった結果だ、ということもできる。韓国の歴代政権や政治家らは、後先考えず興奮する国民感情に迎合し、さらにはこれを利用し、日本のペースに巻き込まれる道をずっと歩いてきた。
日本の国家位相がGDPより2倍も高いのは、「ジャパニーズ・スタイル」を好ましいと思う世界人がそれだけ多く、韓国の国家位相がGDPほどでもなく、その3分の1にすぎないのは、「コリアン・スタイル」を嫌う世界人がそれだけ多い、ということを意味しているとみることもできる。米国国務省で韓国課長や日本課長を歴任したデビッド・ストローブ氏は最近、ある寄稿文で、「韓国の独島占有は維持される。しかし、韓国のデモ隊が日本の首相の写真に血を塗り、“独島は韓国領”と叫べば、韓国人のイメージはどうなるだろうか」と記した。コリアン・スタイルにどんな得があるのか、という問い掛けだ。
国際社会は「米国産牛肉を食べると狂牛病にかかる」などとは思っていないのに、唯一韓国人だけは、国民の過半数がこれを信じている。子供たちが「死にそう」と泣きじゃくり、大規模なデモが連日起こっている。ある外国の経済人は「笑ってしまう」と語ったが、考えていることはそれ以上、というわけだ。
韓国が国際社会の視線を無視し、自分たちのやり方で道をふさぎ、寝そべり、デモをし、大声を上げ、物を壊し、血書を書き、剃髪(ていはつ)や火あぶりの儀式を行いながら暮らしていくならば、国際社会が独島をどのように表記しようと関係ない、という覚悟も同じく持っておかなければならない。しかし、そういう人はいないだろう。
2000年の間世界の中で最も辺境にあった韓国が、国際社会に乗り出しておよそ40年。その間にここまでくることができた。しかし、「内輪同士布団の中で万歳を叫ぶ」今のこの思考方式・行動様式では、ここまでが限界のようだ。ある日、空港の待合室に韓国人だけが残されていることに気付いた時は、先進国に上るはしごがすでに片付けられた後なのかもしれない。
楊相勲(ヤン・サンフン)論説委員
http://www.chosunonline.com/article/20080812000060